連載第15回
「訪問介護の報酬前倒し引き上げは、見送りへ」
 介護人材不足が深刻といわれる中、介護事業の安定化と介護労働者の処遇について検討していた厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会のワーキングチームは、介護報酬のみでは介護労働者確保の根本的な解決策にはつながらないとする報告書を、12月10日に提出した。
 ワーキングチームでは訪問介護事業者や施設など9つの団体からヒアリングを行っていた。賃金水準は全産業全体と比較すれば低いが、勤続年数が短いこと、女性の就業が多いことなどの要因があり、そうした条件に基づく比較がさらに必要であるとした。介護報酬の引き上げがそのまま、賃金の引き上げには繋がらないともしている。また今後の検討課題として訪問介護はサービス提供責任者の介護報酬上の評価や、現在へき地にしか認められていないサテライト(出張所)を認めることなどをあげた。これらは来年度から改定される可能性もある。しかし、事業者団体が求めていた在宅介護の報酬を1年前倒しで引き上げ、20年度から実施することは、介護労働の問題は報酬以外にもさまざまな要因があるとして退けられた。
報酬の引き上げのみで問題解決しないというワーキングチームの分析は、確かにそうなのかもしれないが、といって報酬により改善されるものも大きい。介護保険下での指定基準の中でプロとしてのサービスが要求される以上は、その仕事に見合う賃金が必要だ。何よりも将来の生活設計が描けない現場は、疲弊する。

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