子ども対象アウトドア活動マニュアル

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子ども活動のリスクマネジメント

 少子化に歯止めをかけるためには、国としての経済的支援に加え、「地域で子どもの健全育成を支える仕組み」が必要になっています。最近では、徐々にですが助成事業も増えつつあり、民間事業所に加えて、任意団体として、あるいはNPO法人として子育て支援をサポートする活動も活発化しています。
 一方では、子どもさんの誤飲事故(誤って異物を飲み込む事故)や遊具からの転落事故など、残念な事故も決して少なくありません。ここでは、「一時保育/子ども活動のリスクマネジメント」の要点に触れてみたいと思います。    

「リスクマネジメントの基本」はこちらをご覧ください

 

  • 本来、リスクマネジメントは「人はミスをする」前提に立つことからスタートしますが(現状としては、私達日本人はミスをしてはいけないことにばかり気をとられますが)、子どもさんに当てはめると、『子どもは○○するものだ』という所からリスクを発見し、対策を講じていくことが実効性のある具体的な対策につながります。
  • 例えば『子ども(特に幼児)は何でも口にするものだ』という観点に立てば、「飲み込める大きさのおもちゃをそばに置かない」ことや「有害物質でつくったおもちゃ、有害塗料を使ったおもちゃは置かない」という事前対策が考えられます。また、「万一喉にものを詰まらせたときの応急処置をマニュアル化して訓練しておく」ことは事後対策の一つになります。 「誤飲しないように気をつけて見守るように」という対策は、人はミスや見落としをする生き物なので、リスクマネジメント上は十分な対策とは言い難いものになります。
  • 以下、同様の観点で代表的なリスクをチェックしてみます。
『子どもは○○をする』観点 リスク 観点を踏まえた対策例
子どもは何でも口にする、舐める 誤飲リスク ・飲み込める大きさのおもちゃをそばに置かない。
・有害物質でつくったおもちゃ、有害塗料を使ったおもちゃを置かない。
・床磨きは有害ワックスを使わない。
・タッピング(みぞおちの背中側を手で叩く)などの応急技術を学んでおく。
子どもは高いところに上りたがる
子どもの頭は体に比して重い
転落リスク ・ベランダの高さは十分か確認する。そばに台になるものを置かない。
・階段の手すりは十分な高さか確認する。
・風呂場の水を抜いておく。
・すべり台、うんていなどの遊具の下(特に土台がコンクリなど)が硬い場合、マットやクッションを敷いておく。
子どもはわき目もふらず走り出す 衝突リスク ・ガラス(特におおきなもの)の磨きすぎは危険なのでシールなどを張っておく。(衝突事故は少なくありません)
・施設を出たところに、すぐ道路や交差点があれば送り時にスタッフが立つ、また「子ども飛び出し注意」などの看板を道路に出しておく。
子どもは冒険好き
狭いところに入りたがる
閉じ込め
リスク
・子どもしか入れない隙間を塞いでおく。
・外に古いコンテナや冷蔵庫があれば、処分するか開かないようにしておく。
子どもはじっとしていない
やんちゃである
(ケガの
リスク)
賠償リスク
*(注) 救急箱を用意しておく。近所の医療機関(診療科目も含めて)を壁に貼り出しておく。
・第三者、借用会場のものを壊したときの「管理監督者としての責任」をカバーできるように「賠償責任保険」に加入する。

▼注 
子どもが飛んだり跳ねたりして転んでケガすることは、ごく普通のことです。元気の良さによる生傷(なまきず)までは防ぐことはできません。また無理に防ごうとすることは本来の健全育成から遠ざかることかもしれません。
リスクマネジメントのポイントはすべてのケガを防ごうとするのではなく、「お世話する/お預かりする側に責任が生ずるような事故(=プロであれば予測可能な事故、防ぐべき事故、重大な事態につながる可能性のある事故)を限りなくゼロに近づけること」なのです。

他の観点 リスク 観点を踏まえた対策例
「環境」の観点
・夕方には人寂しい場所である。
・変質者出没情報があった。
・交通量が半端でない。


防犯リスク

交通事故の
リスク

・一人では帰さない。(グループ、付き添い)
・近所への協力要請と見回り。
・近隣交番への見廻り依頼。
・帰宅時の交通整理、送り迎えのルール化
 など
・交通事故予防啓発教育
「ケアする側の人間」の観点
・体調が悪いときは・・・
・ケガをしているとき・・・
・深刻な悩み事があるとき・・・
事故リスク
感染リスク
・体調が悪い時やけがしている時は、見落としや間違いを起こしやすいので「事前報告・交代ルール」を決めておく。
「仕組み・システム」の観点
・マニュアルや教育・研修システムがない。
・親御さんの理解が得られない。
事故リスク
個人情報漏えいリスク
クレーム多発リスク
・新任でも、一定レベル以上のケアができるようマニュアルを作る。
・定期的に研修をする。
・事前説明をしっかりする。(文章化)

▼注 
上記は例であり、現場 現場で「問題意識」をもってリスクを発見・洗い出していくことが大切です。知恵は現場にあります。
 
子ども施設のリスクチェック表


  1. 社会性が高いがゆえのリスク(社会的責任)    
    • 地域社会、行政、NPO、企業等との連携・協働が必要です。
    • 関わる個人(ボランティアスタッフ、非常勤スタッフ、職員、役員)をどう守るかが大切です。
      ・・・ボランティアなど、活動の自発性がもたらすリスクがあります。
      (プロとして求められる業務とご本人のアマチュア意識のギャップ)

  2. 対象者が低年齢であることのリスク  
    • 特に低年齢の場合、本人の判断能力がない、あるいは弱いのでリスクが高まります。
        −子どもさんがケガをするリスク
        −他人をけがさせる(他人のものを壊す)リスク
        −危うい(痛い)状況を説明できないリスク
    • 「我が子」のケガや病気に親はとても敏感に反応するケースが一般的で、通常よりも賠償リスクが 加重されがちです。