訪問介護のリスクマネジメント Q&A

 54歳の女性。心臓病・言語障害・嚥下力低下(ミキサー食)。歩行も少しふらつきます。
 朝、家族が勤めに出た後、8:00〜9:00、昼間はデイサービスを受けています(9:00〜17:00)。夕方、家族が帰宅するまで、17:00〜18:00の時間帯で1日2回、月〜金まで毎日、見守りの援助をしています。
 ヘルパーに対して、機嫌の悪い時や体調があまりよくない時が多いですが、とても攻撃的になり、手をねじられたり、カバンを外へ放り投げられたり、ドアを中から閉めてしまって中に入れてもらえなかったり、カバンで顔や頭を殴られたり、実際に医者にかかった方もいます。見守りで入っていますが、本人、二階に上がってドアを閉めています。
 大きな物音がしたりすると心配で、二階に行きますとすごく怖い顔をして、向かってきます。ヘルパーは、一階の部屋で見守るしかありません。階段を上がって行く際に、おやつを両手に持って、体をのけぞりながらあがって行きますので、とても心配です。おやつも喉につかえないか。階段から落ちたら大変。一階で見守りたいと家族に話しても、そのうちと言うだけで話が進みません。お家の方といる時に一度、階段から落ちて、怪我をしました。このような状況で見守りをしていて、事故になってしまった時の責任はどうなりますか。

 このケースの場合、ご利用者がヘルパーに対して危害を加えるという問題と、ご利用者の安全を確保するという問題の二つの問題があります。
 まず、前者の場合、なぜ、ご利用者がヘルパーに対して危害を加えようとするのか、原因をつきとめる努力をすることが大切です。また、原因を究明する時にご家族の協力を仰ぐことが大切です。しかし、原因がつきとめられ問題が解決できるとは限りません。その時はご家族に対して、このご利用者が果たして訪問介護サービスを受けることに適しているかを、ケアマネジャーを入れて話し合わなくてはなりません。
 また、後者のご利用者の安全に対しては、状況をご家族によく話し改善をお願いします。ご利用者の危険などの問題についてお話をする時は、ただ「危ないから〜した方が良い」という話し方では十分ではありません。できれば事例を挙げて「このような事故が起こる可能性があります」と説明し、「このような事故が起きた時、その結果どのような事態になるのか?」も併せて説明します。
 結果の重大さも含めて説明しているのに、ご家族の協力が得られずに事故が発生した場合、事業者として責任を問われることはないでしょう。
【注意】本Q&Aの賠償責任判断などは、あくまでも一般論であり、実際の判断は、詳細な事故状況を元にケースバイケースで判断されます。(同じような事例でも、判断が異なるケースがあります。)