
入浴中の死亡事故
【当人の状況】
配偶者と2人暮らし、本人は健康で日常生活動作にも問題は無かったが配偶者は認知症で、Aさんが面倒を見ていた。
【事故の状況】
ある朝、認知症である配偶者が、近所に住んでいる妹の家へ来て、「大変だ」という趣旨のことを訴えた。妹は一緒にAさん宅に駆けつけたところ、Aさんが浴槽内でうつぶせの状態であった。(救急車を呼んだが既に亡くなっていた。)警察による現場検証も行われたが、特に打ちみ等もなく「溺死」ということだった。脳内出血等もなかった。想像ではあるが、前夜入浴中に浴槽内ですべり大量のお湯を呑んで意識を失った可能性があるとのことであった。
通常なら配偶者が長湯に気づくところであったが、配偶者は翌朝まで気づくことが無かった。
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【知恵と工夫】
・まず、高齢者の家庭内事故死のうち、浴槽内溺死が死因第1位であることを肝に銘じておきま
しょう。本件事故のように健常者も例外ではありません。
・入浴環境を改善することで、同様の事故リスクは大きく減少できることを知っておいてください。
−浴槽内及び洗い場には「滑り止めマット」を敷いておく。
−浴槽内イス(浴槽に沈めるイスや台)を購入、利用する。
−浴槽脇に手すりを設置する。特に足を延ばせる長いタイプの浴槽の場合
・次に入浴時の留意点を理解して、入浴のルールにしたいものです。
(以下例)
@湯温は比較的温めで38〜41℃くらいに設定し、決して長湯をしない
A脱衣場や浴室の室温が低くならない工夫をする
-床暖房に改修する
-温風器を設置する
-入浴前に暖かいシャワーを出して浴室内を温めておく
-脱衣所に温風器を設置する
B夜遅い時間の入浴は避ける
C(血圧が高い人は)半身浴を心がける
・要介護状態の場合は、決して無理をせず、デイサービスを利用して入浴するなど2人がかりでの入浴介助を求めましょう。
(監修:PT 志垣健一朗)

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