玄関前での転倒事故

性別

女性

年齢

92歳

住居形態

 

 

【当人の状況】

配偶者とは死別、一人暮らし(近所に息子夫婦が住んでいる)、 軽度の認知症あり、日常生活動作には問題なし

【事故の状況】

Aさんは日常動作に問題はないものの、長男からは緊急通報器代わりに簡易な携帯電話を持たされています。普段使うことはありませんが、いざというときのために大きな数字表示の1が長男夫婦の家電話、2が長男携帯、3が長男の嫁携帯に「押せばつながる」ように設定しています。

ある日長男が訪ねて来た時、玄関の鍵がかかっていたので呼び鈴を押しましたが、Aさんが急いで出ようと玄関に行き、三和土に降りずに手を伸ばして鍵を開けようとしたところ、玄関に敷いてあったカーペットが後ろに滑って、前のめりに玄関に倒れました。(落ちました)長男は念のため持参していた鍵でドアを開けて起こしましたが、左胸が痛いとのことで、整形外科に連れて行きました。診断は肋骨の亀裂骨折でした。

【知恵と工夫】

・まずは、カーペットを床面が滑らない素材の物に取り換えました。
 カーペットは端が持ち上がっていて引っかかるなどの高齢者の転倒にとって曲者ですので、安易な
使用は控える方が安全です。


・玄関のドアを開ける時にはきちんと降りてから開けるよう、ドアに張り紙「降りてから開けること」 を内側に貼りました。また、このことだけでなく、無精をして何かをしようとすると不意の事故に合うことが高齢者には特に多くなりますので注意が必要です。
 (・Aさんの家族が訪ねる時には「勝手に鍵を開けて入る」ルールに変更しました。家に上がる時にピンポ
ンを鳴らすようにしました)


・本件の事故は家族の目があるところでしたが、自分一人の時に転倒していたら携帯電話が机の上に
あったら、通報できません。
事故前は、昼間はリビングの机の上、寝る時はベッドの枕元に携帯電話を置いていましたが、買い物などの外出時はもちろん、庭に出る時やトイレの際にも携帯電話を首からぶら下げるようにしました。
風呂に入る際も、脱衣かごに置くようにしました。本人も骨折が堪えたのか、習慣付いています。


・Aさんは軽度の認知症なので、携帯が使い続けられるよう(3つの番号を押すだけですが)、1日に1回
は長男かお嫁さんが電話して出てもらい、併せて、かけ直してもらう練習をしています。


・携帯電話の簡易使用もできなくなったら、緊急通報器(押せばつながる)が必要になるでしょう。
 あるいは独居の限界が見えてきたサインとも言えます。

(監修:PT志垣健一朗)