食事中のひやり事故(誤嚥事故)

性別

女性

年齢

88歳

住居形態

要介護1、配偶者(健常者)と二人暮らし

 

【ひやりの状況】


 食事に関しては摂食障害がなく(当時は無いと判断されていた)、夫婦で普通の 食事をしていた。2人で協力して調理することが多かった。
 息子夫婦が孫を連れて遊びに来た時に、流行りのコッペパン(好きなジャムをリクエストして間に塗るタイプのもの)を買ってきてくれた。
 懐かしさも手伝い、Aさんは一気に口に頬張ったが、一口の量が多かったせいか、すぐにむせてしまい苦しんだ。息子が咄嗟に指を口に入れて一部を掻き出すことができて、「あー苦しかった」というヒヤリ事故で済んだ。

【知恵と工夫】

・子どもさんの場合には飴玉をのどに詰まらすなどのケースが多いのですが、高齢者の場合は 柔らかいものでもその量により喉に詰まる、あるいは食べたものが食道でなく器官に入る
(誤嚥性肺炎の原因)ことが多くあります。

肺炎(高齢者の多くは誤嚥性肺炎)は死因の3位に浮上しています。

〜以下に誤嚥予防のヒントを例示します。


・まず、食べる時に意識が覚醒しているかを周りの者が確認します。

・入れ歯を付ける方は入れ歯を忘れぬよう、「入れ歯忘れず」などの札を卓上に出しておきます。

・食事前は軽く口を動かし、唾液や少量の水分で口内に滑らかさをもたらしておきます。

・食材もパサパサしたものは避けます。

・一口の大きさも小さめにカットしておくと良いでしょう。

・普段から口のトレーニング、頭や顔を含めた体操を習慣にする。発声練習も有効です。

・ベッドでの食事の場合は、極力ベッドを起こして一口を小さくして食事をとるようにします。

〜自分自身では摂食障害が無いつもりでも、加齢とともに進行していることがあります。
 以下のような症状があれば、医療機関に相談しましょう。


・食事中、あるいは食事中に限らず、むせたり咳き込んだりすることが多くなった。


・食べ物をこぼすようになった。

・のみ込んだつもりでも、食材が口の中に残るようになった。

・噛まなくても良いメニューを好むようになった。

・食事の量が明らかに減ってきた。体重が減ってきた。

・いつもの処方薬が飲みづらくなった。

・水分も飲みづらくなってきた。

 

 (監修:PT 志垣健一朗)