※あいマックスメンタルヘルス研究センター発行『お年寄りのこころ学』より

こころの「危険信号」を見逃さないで

筋の通った話をするのに、認知症ということはあるのですか?

 

 認知症は進行とともに様々な症状が現れるようになりますが、変化の大半は意識のはっきりとした状態で発生します。
現在の瞬間での意識はしっかり、はっきりしているので、限定された状況などでは、一見筋の通った会話を行うことは可能です。
 一般的に、軽度の認知症の方は、対話している相手が記憶を要する話題を切り出さない限り社交的な会話を行うことができます。
たとえば、誰かが「おかあさん、今朝は何を食べたの?」と聞くとします。
 事実としては、おかあさんはトーストを食べたとします。でもおかあさんはごく自然に「今日は、まだ何も食べていないのよ」と答えるかもしれません。
 その答え方に不自然さが感じられないため、トーストを食べたという事実を知らない人は、「そうか、まだ何も食べていないのだ」と普通のこととして受け取ることでしょう。
 また、施設で認知症の方同士で会話している場面などは、楽しそうな会話が続いていて、旧友なのかと思ってしまうようなことがあります。でも、よく聞いていると、会話の意味はまるで成り立っておらずチンプンカンプン。これは会話自体が楽しいということで、内容や言葉の意味で楽しんでいるのではないということです。
こんなところからも、専門職でさえ、受け持ちの患者さんが遠い昔の出来事を克明に覚えているな、という印象を持つことがあるそうです。
 ただし、大半の場合その専門職は、患者さんが話している出来事が本当に起こったことかどうかは知らないのです。
 これが認知症の診断が難しいと言われる所以なのですが、筋の通った会話、好感の持てる態度、感情的な問題がないということだけでは、認知症という病気ではない、とはいえないのです。


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